十六夜喫茶にようこそ 後記

ちょうど去年の今日、1/3に十六夜喫茶にようこそをサイトにて第1話を掲載しました。あれから一年、全10話という短さではありますが菊砂月初の連載漫画を無事完結することができました。漫画って描くの大変ですね。でもその分学べたことが色々ありました。漫画描かなかったら背景の練習なんてしなかっただろうし…。ていうか自分の思う絵が描けなくて何度か筆を置きかけた
十六夜喫茶にようこそは3年くらい前に考えていたツクモさんが主人公のお話を元にしたものです。死神が未練を晴らすという大まかなストーリーはそこからごっそり持ってきました。成人男性を描くのが苦手なので主人公も男の子になったのは内緒です。

せっかくなので十六夜喫茶にようこその各設定とかまず書き連ねようと思います。

死神について
死神として生を受けた時は子供の外見。成長速度は10年で1歳ほど。一人前になる為に子供のうちは他の死神と組んでいる。

メインキャラクターの裏設定のようなもの
ツクモさん
正体は死神。割と適当に死神として生きている。

死神見習いで十六夜の弟子。人を理解しようとするが故になんでも難しく考えてしまう。

生まれつきの病気で命を落としてしまう。
未練…病弱な自分への輸血で命を落とした姉への罪悪感と後悔。
幕間姉妹のやりとりや姉から許しの言葉をもらったことで成仏する

海辺の兄弟が多い家の末っ子として生まれ、家の手伝いに追われていたがある日海に足を滑らせて落ち、溺死してしまう。
未練…やりたいことをやっていた兄や姉のように自由に生きてみたいという思い。
十六夜喫茶である程度自由に生きれたこと、ノアが代わりに自由に生きてもらったことで成仏する。

ごく一般的な家庭に生まれたが母親が浮気をしていたのがバレて母親と共に家を追い出され、貧しい暮らしをしていたが体を壊し、そのまま衰弱死してしまう。
未練…父親や幸せな環境を失い、命を落とす原因にもなった母への恨み。
一の母親に対する愛情を見て思い直し、母親を許したことで成仏する。

以上!後の設定とかについては多分漫画内で描写したかな…と思います。伏線とかネタバラシとか見よう見まねでねじ込んでみましたがどこにどう入れようかと考えるのはなかなか楽しかったです。もっと手法とか勉強したいです。改めて10話分見直してみると描き方がころころ変わってて面白いです。絵も上手くなったぞ。多分。

十六夜喫茶にようこそのテーマ?は「個人」における「死」と「愛」でした。人は愛をそれとなく覚えて得て、その愛に未練を抱えたりして生きて死ぬんじゃないかな、という菊砂月の考えを元に話をつくり、オチをつけたつもりです。あくまでも考えなので実際は違うのかもしれませんが…。案外他人から愛されたりするとコロッと変わるかもしれませんね。

今回、漫画というか絵を描いていて苦痛に感じたことがよくありました。主に描写力不足に悩まされたのですが、そこに改めて気づけた分もっと練習しようと思うことができました。やっぱり何事も自分のできる範囲で新しいことに挑戦するのは必要ですね。
自分がこうやって絵を描いて、漫画を描いて、色々創作活動をしているのは他人から褒められたい、認められたいというのもありますが、何より「自分の好きなものを形にしたい」という気持ちがあるからです。絵が、漫画が、ゲームが完成した瞬間が本当に楽しいです。嬉しいです。生きている理由です。他人に否定されるのが嫌な意気地なしの菊砂月が否定され続けても唯一辞めなかったものなんです。
そんなものだからこそ、こうやって1つの作品として完成させられたことが幸せです。

なんか懺悔みたいになって収拾つかなくなってきましたが初めての連載漫画、とにかく完結できてよかったです。終わってみれば楽しかったですね。

それでは最後に、十六夜喫茶にようこそを読んでくださり、またこのブログを長々と読んでくださり、本当にありがとうございました。1年間お世話になりました。



ここからちょこっと裏話。 というかifの話をしたいと思います。こんなお話もありかな、みたいな。それだけです。反転で。
十六夜喫茶にようこそが完結した後、篝はツクモさんともう50年後か100年後くらい、篝が高校生くらいの見た目になるまで十六夜喫茶で死神のお勉強を続けます。そこで人を、人の心を理解しようと、努力し続けていた篝はそれが人間ではない自分には到底無理だと悟ってしまいます。そこでツクモさんのように人の考えることを反射的にただ覚える者こそ死神に向いているのであり、こんな心を持った自分は死神として生きるべきではないと考えた篝は死んだ魂を回収する、世間一般的に言う死神をやめることを決意します。死神をやめると死者は見えますが他の死神から迫害され行き場をなくし永遠に近い命をただ生きるだけになってしまいます。しかし篝はそれでも死神をやめようと考えていました。死神をやめるには、生者から無理やり魂を奪うことと、他の死神を殺すという選択肢がありました。前々からツクモさんの人に対する考え方を少なからず不満に思っていた篝はツクモさんを殺すことで死神をやめることにしました。「僕は僕が正しいと思った生き方をするよ、人間みたいに」そう言って篝はツクモさんの首を締めます。「そうか」ツクモさんは抵抗せず、ただ最後に「そう簡単には生きれない」とだけ呟いてそのまま篝に殺されます。他の死神を殺したことで死神をやめた篝。彼の両手は他の死神から見たときに死神を殺したことがあるとわかるように真っ黒に変色してしまいました。そんな篝は黒い革手袋をつけ、タバコ屋を経営する傍ら死者が見える力を使って殺人に関する事件のみを扱う探偵をして残りの長い人生を人間と同じように、人間を理解しようととしながら過ごしていました。ある日、たまたまタバコ屋に一人の女子高校生が訪れます。彼女の右手は黒く変色していました。彼女も篝と同じように死神を手にかけてしまった仲間なのでした。
そんな厄介者の二人の呑気で気怠い、でもどこか排他的な探偵ミステリーみたいな話をちょろっと考えたりもしました。まだミステリーものの作り方とか分からないので、いつかゆるっと形にできたらなーと思います。その頃にはきっと漫画ももっと上手くなってるでしょう。小説でも面白いかもしれませんね。では、こんなところまで読んでくださり本当にありがとうございました。